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氷帝編〜Episode1〜*
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『修学旅行』
修学旅行の行き先は例年海外となる氷帝で、今年はどこなのか話題になったある日の部活終了後の部室でのことだった。
「そういや侑士は、大阪から引っ越して来ただろ? 小学校ん時はどこに修学旅行へ行ったんだ?」
ロッカールームで着替えながら向日は忍足に聞いた。
「俺んとこは広島と岡山と三重を周(まわ)ったで」
ロッカーの扉を閉じると、少しだけ懐かしむような眼差しを、忍足は部室の空間へ向けて言った。
「三県もですか? やっぱり違うものですね」
感心したように鳳が、着替えのシャツに片手を通しながら言った。
「そういや跡部はその頃イギリスにおったんやろ? イギリスの学校でも修学旅行なんてあるんか?」
帰り支度の済んだ忍足が、バッグを片手に部誌を書いている跡部に近づき、ふと思ったことを口にした。
「…それらしいもんは…どうかな。サマーキャンプとか古城、教会巡りはあったけどよ」
文字を書いていた手を止めると、考え込むように指先をあごに添えた。
「き…教会巡り…ですか?」
忍足の後ろから顔を覗かせた鳳が、驚いたように目を丸くした。
「授業で宗教の時間があるんだよ」
「あ~、ヨーロッパやからな…」
また部誌を書き始めた跡部に、わかったようなわからないような微妙なコメントを忍足がした。
「…俺は向こうの学校はハンパな時期に卒業しちまったから、卒業旅行とかがあったのかもしれねぇが、それはわからねぇ」
部誌の記入スペースを埋めながら、跡部はつぶやくように言った。
「え…跡部、小学校で何したん?」
跡部の言葉にレギュラー部員が興味津々な視線を向けた。
「卒業を繰り上げて貰っただけだ。仕方ねぇだろ? 向こうは9月始まりでこっちは4月始まりだ。中学の入学式に合わせて半年早く卒業したんだ。ま、取りあえずサッツじゃトップクラスだったからな。問題はねぇ」
フン、と軽く鼻で笑うとすぐに元の表情に戻り、再び残りのスペースを埋めようと跡部は部誌へと目線を落とした。
「サッツ…?」
「…それって何やの?」
聞き慣れない言葉に、さらに部員達の興味と視線が集まる。いつの間にか跡部の周りは部員がぐるりと取り囲み、次の話題を待ち望む形になっていた。