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氷帝編〜Episode1〜*
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「お…忍足くんは何を歌うの? もう決めた?」
「ん~そやな…。唱歌あたりやと点高いみたいなんやけど、俺の声に合わへんからどないしよか思ってん」
すたすたと近付いて来た忍足くんは、私の手から教科書を取るとパラパラとページを繰った。
「忍足くん、低音だし歌上手いもんね」
私は心臓のドキドキを抑えようと、必死に平静を装って固まるような作り笑顔で忍足くんに言った。
「ハッ、てめぇは佐渡おけさでも歌ってろ」
「…っ跡部…くん」
今度はいきなり跡部くんが入って来た。え…部活に出てたんじゃ…。
「何やの跡部は、突然湧いて…まだ部活中やろが」
私の疑問そのままに忍足くんが聞いてくれた。
「榊先生の用事だよ。…野崎じゃねぇか。忍足とこんな所で逢瀬かよ」
手に抱えていた幾枚もの楽譜をグランドピアノの上に置くと、跡部くんは私と忍足くんを見比べた。
(おっ…逢瀬って、そんなっ…)
「大体忍足、てめぇは部活サボりかよ? あぁ?」
私が跡部くんのひと言で焦りまくってしまったのに、当の跡部くんの視線はもう忍足くんへと向いている。
「サボりやないで。俺は…」
「忍足くんは今日の日直当番だから、掃除の報告を先生にしたりで遅くなったのよ。別にサボってないから、跡部くん」
私はつい口を挟むような形で言ってしまった。
「ほう…」
「…ま、そないなことや。ありがとな、野崎」
「あ、その…忍足くん真面目に当番やってたし…」
私は、忍足くんの笑顔でしどろもどろになる。
「なら、速攻で着替えて来い」
「わかっとるがな、今行くとこやってん」
忍足くんはペンケースで自分の肩をぽんぽんと軽く叩きながら、跡部くんとドアに向かって行った。
「そや跡部。なして俺が佐渡おけさ歌わなアカンの?」
跡部くんの一歩後ろから忍足くんが、さっき言われたことを聞いている。
「お前の顔が佐渡おけさだからだ」
「…どないな顔や、それ。ムカつくんやけど。ほな、跡部は何歌うん?」
「アーン…そうだな…。俺様ならオペラでも歌うかな」
「オペラ? そんなん勝手に歌ってええんやったらJポップやの歌う奴出て来て、しまいにカラオケになってまうで?」
立ち止まって忍足くんが言ったけど、それは一理ある。