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氷帝編〜Episode1〜*
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「俺は鞄です。ビジネスバッグですかね、サラリーマンが下げているような…」
またサラリーマンか。物を落とし過ぎじゃねぇのか、と日吉の声に心で反論する。
「鞄が道路に?」
「いえ、俺が見たのは山の中です。登山鉄道の窓から見ました。人家もなく無人駅も離れ切り立った山肌にうっそうと木が生い茂る場所です」
「…なしてそないなとこにビジネスバッグが…」
「さぁ、謎ですね」
日吉の話に走りながら一斉にシンとしてしまい、吐く息と足音だけが規則正しく後からついて来るだけになった。
何だよ、手袋の話からいきなりミステリー落ちかよ。
聞かないつもりが気にかかる。一体そんな場所に誰が鞄を捨てたんだ。落とすにしても限度があるだろサラリーマン。
イラつく。自然に速度が上がる。跡部の横を女子達の姿が次々と後方へ去って行く。
推理しても始まらないが、色々と頭で考えている間にゴールのテープを切ってしまった。ぶっちぎりのトップだ。
跡部に続いてテニス部員達の集団もまとめてゴールした。
放課後、迎えの車が来ているいつもの場所へと跡部は向かう。
「ん…?」
タイヤの近くに何やら赤い物が見える。
「これは……っ」
思わず身構えた。跡部景吾15歳。それが人生初の道端に落ちている片っぽの手袋を見た日だった。
fin.