青学編
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「…夜でも咲いているんだな」
感心したように手塚は、暗さに溶け込み花の色さえ定かではない白粉花を見つめた。
「ああ、白粉花は日中は花弁を閉じて、夕暮れあたりから咲き始めるからな」
乾も手塚に並び、眼鏡のフレームを押し上げながら見下ろした。
「…以前もお前とこんなことはなかったか」
ふと思い出したように手塚は乾に視線を向けた。
「ああ、あれは早春…二月だったな。沈丁花だ」
「詳しいな」
「何、単なるデータだ」
手塚の目が、和んだように乾には見えた。
「さて、帰ろう。明日も朝練だ」
「そうだな、だが、朝方からの降水確率は40%だ」
「…時期が時期だし仕方ないが、大会に向けて時間が取れないのは痛いな」
「まあ、それ用に筋トレや柔軟メニューも考えている、心配するな」
「そうか、期待している」
すでに手塚は花の香りを忘れ、思考は次へと向かう。
一粒、天からの雫が白粉花に当たると葉をかすかに揺らした。
fin.