青学編
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私は何も望まないから…。
不二くんとのやり取りは携帯のメール。
話題はテニスのこと、メンバーの話や試合のことが多い。
試験が近づくと、勉強の話になるけど、学校生活がほとんど未体験な私には、楽しくもあり共有出来ない寂しさもあった。
一度だけ、外出許可を貰って不二くんと会ったことがある。
不二くんは気を遣って本当にゆっくりと私に並んで歩いてくれた。
もちろん、不二くんに言われるままおどおどと差し出した手を繋がれて…。
あれが、私の人生最大の幸せな時間だったと思う。
多分、もうじき私の時間は終わる─。
ずっと灰色だった私の世界の最後に鮮やかな彩りをくれた不二くん。
きっと、知らないうちに彼に負担をかけてしまったんだろうな。
ゴメンね、不二くん。ありがとう。
その言葉を打ち込むと送信ボタンを押して携帯を閉じた。
『また明日』はもうないけれど、楽しかった時間だけで私は残りを過ごせる。
病室の窓の外。
最後のきらめきを残して太陽が沈んだ。
fin.