夏の幻*
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(え~…と あれ…)
あたしは、打とうとした人のサーブを、見ていなかったことを思い出し、
(別な人のサーブで始めるか…よっしゃ!)
5~6球なら全力出してもバチは当たらない。
思い切り打った。
柳さんが驚いた顔をした。
返ったボールを打ち返す。
柳さんがもっと驚いた…と思ったら、さらにあたしを確かめるように、返球された。
打ち返す。
柳さんが、何だか嬉しそうに返球する。
(ちょっと待って、5~6球じゃなかったの?)
20~30球は打ったような気がする。別に試合じゃないから、決めるようなことはしなかったけど…。
「どうした蓮二。5~6球じゃなかったのか?」
真田さんが、ベンチに戻った柳さんに言った。
「いや、打ち始めたら止めたくなくなった。懐かしくてね」
ふふ…と柳さんは微笑む。
「懐かしい…?」
真田さんが、いぶかしげに柳さんを見た。
「気がつかなかったか?弦一郎。俺は…精市と打っていたんだ」
「精市と?」
真田さんが、驚きを隠せない…と言う顔で柳さんを見た。
「彼女はコピーテニスをするんだ。多分、その場で見て覚える。そして次の現場で微調整をする。やがて、消化された技は、そのうちコピーではなくなる…」