帝王の庭*
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樺地さんの数歩手前であたしは地面を蹴った。
樺地さんが両手を揃えて差し出してくれる。
あたしが樺地さんの両手を踏み台にして蹴る瞬間、樺地さんもタイミングを合わせてくれて、あたしを上空目がけ高々と投げ上げてくれた。
樺地さんの身長190センチ。あたしの身長150センチ。それだけで340センチ。残りの160センチは腕の長さと…このジャンプで…!
樺地さんは想像以上にあたしを高く投げ上げてくれた。
『帝王の星』が目の前でくるくると輝いていた。
『器具や道具は使わない』
『取る時は自分一人で』
『自分だけの手で』
あたしは樺地さんの『手』を借りただけだ。
あたしは勢いよく星を掴んだ。
星は手の中で光を受けてキラリと反射した。
瞬間、歓声が校庭中に広がった。
ムーンサルト…まではいかなかったけれど2回転ぐらいしてあたしは着地…したけど勢い余ってひっくり反った。
歓声の中に笑いが起こったけど、気にしてられない。
マットも何もない地面に、5メートルの高さから飛び降りたのだ…そんなことをして、足に衝撃がこないはずがない。
あたしの賭けは終わったから、一刻も早くここから逃げ出さなきゃならない。
─動けなくなる前に─
あたしは樺地さんの手に星を渡すと、
「ありがとうございました」
とお辞儀をした。
「ウス…」
あたしは皆に取り囲まれる前に素早く抜け出し、
「七星ちゃん!」
と、叫ぶ忍足さんに手を振ると氷帝の正門目指して、痛む足を引きずり残りの力を振り絞り、ひたすら走った。
「ま…まただ」
急激な運動後の反動…。
ガクン…と膝に来て…
あたしはまた、氷帝の塀に寄りかかったまま動けなくなってしまった。
「も…ダメかな…」
意識がぼう…とする。
「そうでもないぜ。ちゃんと言ったろ。お願いすれば助けなくもないぜ?お嬢ちゃん」
(あ~意識が消えかけてる人間にそういうこと言うわけ?)
痛む足、踊る心臓、流れる冷や汗…。正気を保つので精一杯だ…。
震える指で、何とか落とさずポケットに収まっていた携帯を取り出すと、跡部さんに向けた。
「…携帯がどうした?」
怪訝そうな声がする。
浅く早い息の下で切れ切れにやっと答える。
「…この…中には、青学…立海…ルドルフ…山吹…選手…入ってる。一番テニスの強い人に…迎えに来て貰うから…今日は…送ってくれなくても…平気…」
「──何?一番だと?」