夏の幻*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
日吉さんは、あたしを押さえている手を離さずに振り向くと、嬉しそうに微笑んだ。
そして、あたしを逃がさないようにするみたいに、あたしの腕を掴んだまま向き直ると言った。
「今、君はここにいる。でもまだ俺のものじゃない。でも…千石さんの前なら、君を独占出来る」
いつの間にか、あたしは自分の背中に木の幹が当たるのがわかった。
「これからは、俺を頼るんだ。千石さん…しつこそうだよ?」
「わ…わかりました」
あたしは、じっと見つめる日吉さんの視線から逃れようと、必死に下を向いた。
「氷帝に来て。今度は俺に逢うために。いいね」
満足したのか、日吉さんはあたしの頬を撫でると、やっとあたしを解放してくれた。
力が抜けた。
ほんとに力が抜けた。
あたしは、木の根元にそのまま座り込んだ。
「何やってんだ。ベンチなら向こうにあるぞ」
首にタオルをかけ、ペットボトルのドリンクを飲みながら、見慣れた顔が声をかけてきた。
「リョーマくん!いたの?」
あたしはびっくりして思わず大声を出した。
「ああ、一番奥のコートでストテニしてた。七星は誰といたんだ?」