帝王の庭*
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競技が始まって驚いた。
さっきのクラス対抗より、障害が増えてませんか…?
「部対抗だからさ、バスケとテニスの種目が入るんだぜ。あ、俺、向日岳人ってんだ。よろしくー」
あたしの前にいるサラサラの髪を切り揃えた小柄な人…が教えてくれた。
「でも、アンタも相当変わってるよなー。跡部と代わってまで他の学校の体育祭に飛び入り参加するなんてさ。そんなに障害物好きなのか?」
「いえ、そういうわけでは…」
苦笑しながら言葉を濁したところで向日さんの番になり、猛然と走りながら空中で回転して行った。
そしてついにあたしの番が来た。今のところトップはテニス部。2位は陸上。
忍足さんが約束したように、追いすがる陸上部を余裕で引き離してくれていた。
「頑張りや!」
あたしはスタートしながら、アンカーのタスキを短く縛り、最初の跳び箱10段を勢いよく倒立で飛び越え、マット、平均台を側転だのバク転だので、なるだけ足を使わないように必死に駆け抜けた。
『えーっ!?あの人あれでテニス部なの?』
『体操部じゃないのーっ』
『一体誰なの!?』
『すご~い』
あちこちから歓声が湧いた。
次の障害用にバスケットボールを走りながら受け取る。
とにかくボールを入れればいいみたいだけど、バスケのゴールポストまで、往復20メートル近くもあたしは走るわけにいかない。
即断であたしは、ボールを受け取ったその場から、超ロングシュートを思いきり投げた。
怒濤の歓声が上がった。
ロングシュートはリングの中へ吸い込まれるように入ってくれた。
続けてテニスラケットを手にした。自慢じゃないけど初めて触った。
これまた10メートルくらい先に、中央に円が描かれた板が立てられている。
テニスはしたことない。
でも縁日の的当ては得意だ。
(よし、やるっきゃないでしょ!)
焦りつつも軽く目を閉じ、息を整え見慣れた青学テニス部の練習風景をイメージした。
(いつも見ているあのサーブを打つんだ!)
打ち込んだボールは思いの外威力があったようで、軽々と板を吹き飛ばした。これは自分でもびっくりだ。
驚愕の歓声が渦を巻く。
ここからがゴールまでの一直線。不安がよぎる。40メートル近くある。
(保つかな…)
でも、考えている暇はない。
あたしはラストスパートを切った。
「樺地さんお願い!」
あたしは走り出すと同時に叫んだ!
「ウス」
選手の待機場所から樺地さんが立ち上がると、『帝王の星』の下に スタンバってくれた。
「何する気や…七星ちゃん…」
「ほぅ…樺地を使うか。考えたな」
歓声がどんどん大きくなる。
あたしはスピードの波に乗った。