夏の幻*
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「うん、わかった。すぐ帰る」
私は携帯相手に『自宅から』を想定して、一人芝居をして切った。
「ごめんなさい、七星さん、母が用事があるらしくて戻れって言うの」
私は七星さんに頭を下げた。
「あ…いいですよ、あたしも失礼しますから」
七星さん、ホッとしたらしく私に微笑んでくれた。
(─でもごめんなさい。お兄ちゃん…絶対七星さんのこと、帰さないと思います…)
「あ、じゃ俺と一緒にどこかその辺行かない?」
「─え?」
「じゃね渚、気をつけるんだよ」
(お兄ちゃん、素早く七星さんの腕を掴んでる…)
「う…うん、それじゃ七星さん、また連絡するね」
(うひゃ~知らなかった。お兄ちゃんって、意外に恋に生きるタイプだったのね)
「あの、千石さん…」
あたしは掴まれてる腕と、千石さんを交互にチラチラと見た。
「ダメ。離さないよ。…やっと逢えたんだから…」
千石さんは微笑むと、もう一方の手も添えて、あたしをベンチに引き戻した。