夏の幻*
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「…え」
七星さんが私に視線を向けて来ました。
「あっ、私はもういいですよ。用事は終わりましたから」
私があわてて言うと、
「じゃ行こうぜ」
と跡部さんが、七星さんの腕を取る。
「…跡部さん、カップを一客彼女に差し上げて下さい!」
「あーん?」
七星さんに言われて跡部さんは、妙な顔をしたけど、車の中からカップの入ったあの箱を持ってくると、私に手渡してくれました。
「あ…ありがとうございます」
凄く嬉しかった…。
「渚さん、わざわざ直してくれてありがとう。あたしは、こっちの方を大事にします」
七星さんは、そう言うと、ツギハギだらけのカップの入った袋を持って、にっこりと笑ってくれました。
(…本当に可愛い…)
私は跡部さんと一緒にお店から出て行く七星さんの後ろ姿を、車に乗るまで窓越しに目で見送りました。
「はぁ…」
家に帰ってからの私は、ついつい知らぬ間にため息ばかりついてしまう…。
「どうかしたのか?渚」
心配症のお兄ちゃんが声をかけてきました。
「うん…七星さんの彼…跡部さんだったんだね…凄いショック…」
私は喫茶店での光景を思い出すと、独り言のように口に出していました。