月光小夜曲*
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「そうだ」
あっさりと跡部さんは言う。
「そんな…!高価な物を頂くわけには…」
あたしは焦って、止め具を外そうとして手を首に回した。
「いい。お前に似合うと思って選んだんだ。お前以外がつけても意味がない」
跡部さんは、あたしの手を握って、外すのを止めさせた。
「あ…あの…跡部さん?」
「…何だ」
「は…外しませんから…手…手を離して頂けませんか?」
あたしは跡部さんに、手を握られたのが恥ずかしくて、下を向いたまま言った。
「………」
跡部さんは、すぐ右手を離してくれたけれど、左手が上に持ち上げられた。
あたしはソファに座っていて、跡部さんはあたしの後ろに立っている。
(…え?)
と思って、顔を上げる寸前、指先に柔らかく暖かいものが触れた…。
跡部さんを見上げた時には、手は離された後だった。
「ついでだ。お前に曲も贈ろう」
跡部さんは、再びピアノの前に行くと
「明日は、俺様の日曜日につき合え」
と笑って言った。
(俺様の日曜……あたしの日曜はどうなるんですか)
心で叫んだ。
跡部さんの指先から、サティの『ジュ・トゥ・ヴ』が流れ始めた。
「一応、俺様の気持ちだ。お前に対する…な」
跡部さんは、ピアノを弾きながら言った。
あたしは困って…また…下を向いてしまった。
『Je te veux-valse』
…お前が欲しい…
月はさえざえと輝いて、胸元のダイヤもキラキラと輝いた。
fin.