トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「ここら辺だったか……?」
いざカナダの国立公園に来たものの、跡部くんはひたすら誘拐犯から逃げていたので周りを見ていない、私もいきなりあの場所に飛ばされて入り口から来たわけじゃない。
「どこだ?」
跡部くんは五年前の記憶。
私は数日前の記憶。
正確さでは私のほうがまだマシなはず。
でも、目印なんて針葉樹しか覚えていなくて笑える。
「あ!」
「どうした?」
「あれ」
私の指差す方に看板があった。
「あの看板か……」
跡部くんが早足でその看板に近づいて、まじまじと文面を読んだ。
「間違いねえ。ここが俺たちのスタート地点だ」
振り向いた跡部くんの笑顔が眩しいほど輝く。
あの時まだ幼い少年だった跡部くんは、今私よりも背も高い。
そして、誰もいなかったこの場所も観光客の車が何台も走り抜けていく。
「さすがに今日は熊は来てねえみたいだな」
「だね。よかった、今日も人がいなかったらどうしようかと思ったよ」
二人でホッとしたのは間違いない。
この看板からならひたすら真っ直ぐ歩いていけばいい。
しかし、この公園はかなり広大みたいだし、本来なら車で観光する場所なんだろうな、と通り過ぎる車を見て思った。まあ、途中まで車で来て、降りて歩いてるわけだけどね。
グリズリーとの接近戦をした岩場に来た時だ。
(あれ、あの枝って……)
崩れた石や落ちた枝が散らばる中に、覚えのある細長い枝を見つけた。
私が鞭にして使ったやつだ。
よく歯向かえたものだ、と手にした枝をしみじみと見てから道へ戻った。
「思ったんだけど」
「なんだ」
「あの時現れた狼の群れって、もしかしたら私たちを助けてくれたのかな」
「……かもしれねえな。あの状況でグリズリーのほうを狙うのはちょっと不思議な気もする」
跡部くんも首を少しひねって考える。