トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「傷はどうだ?」
翌朝、朝食を下げる看護師さんと入れ替わりに跡部くんが病室に入って来た。
「うん、全快と言えるかな」
私は肩を交互に回し、もう包帯のない腕も伸ばし、うっすらと残る打撲や擦り傷の薄い痕(あと)だけを確認させるように袖口を捲って見せた。
「ほう、これなら出歩けるな」
私の腕を取った跡部くんも、あの牙の傷がないことに安堵したように目が微笑んだ。
「出歩く?」
「退院祝いだ」
「え?」
そう言うと跡部くんは、いつものあの指パッチンをした。
そう言えば、少年跡部といた時は一度も指パッチンしてなかったけど、いつからするようになったんだろうと、やっぱり鳴らない自分の指と跡部くんの指を見比べて思った。
(まあ、あの状況では指パッチンするようなシーンは全然なかったけどね)
気づいたらメイドさんが何人か来て、スーツケースから衣装を出してる……?
「そうだな、これを着せて、靴はこれかこれだな。ああ、履きやすい物を決めさせてやれ」
(なんだ?)
「カナダへ行こう」
「はい?」
ちょっと待とう。ここ異次元とは言え日本だよね?
そして、カナダって海外だよね?
で、私って本来この世界に存在してないよね?
そもそもいない人間のパスポートをどうするわけ?
つか、今から申請してもすぐ作れないよね?
でも、もしかすると、この世界はパスポートとか関係ないのか……も?
いやいや、そんなはずないよね?
でも、実際どうなんだ?
テキパキ指示する跡部を浩美は理解が追いつかず、ただ突っ立って見ているしかなかった。