トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「……」
そんなに……?
あの日、追っ手を逃れ必死に走って辺りを不安げに見回していた幼い彼。
それでも小さな紳士は私を守ってくれた。
跡部くんは私に守られたと言うけれど、私も君に守られていたんだよ。
「捜してくれたんだよね」
再会までの五年間、きっと世界の果てまでも行ったに違いない。
私にとって二日間、彼にとって五年間。
どうしたものか、ちょっと悩んでいたら芥川くんはソファーで寝息を立てていた。
「ウス」
「え」
いつの間にか部屋に樺地くんがいて、寝ている芥川くんを肩に担ぎ上げると軽く会釈し、そのまま病室を後にした。
「やっぱり寝ちゃってたか」
これまた、いつの間にか戻っていた千晶が言った。
「もしかして樺地くん呼びに行ってた?」
「うん、芥川のことだから多分自力で帰れないだろうなと思ってね」
サイドテーブルの保温ポットからお茶を淹れると、千晶は少し笑ってから飲んだ。
今回こちらに長居するつもりはない。
治療はありがたいし、実際もう痛みはないし、傷もほとんど目立たなくなった。
「でもな、これだけ手厚い看護を受けて、はい、サヨウナラは頂けないよね」
最初にこの世界に来た時もそうだったけど、帰り際が難しい。
跡部くんに対しての最大のお礼って私がこの世界に残ることなのかもしれないが、
「それは、無理」
私は戻る。自分の世界へ。
彼もそれはわかっているだろう。
ただ、問題がひとつ。
「跡部くんが私たちの世界にいるであろう跡部くん自身とコンタクトを取ろうとするかもしれないって事だよね」
「だよねー。コミックの中にしかいないとは言ってないもんね」
やはりあの時、牽制せずに事実を伝えればよかったかと、千晶はため息混じりに頭を抱えた。