トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「本当、凄いや」
カナダは日本と同じ北半球だから馴染みの星座が目に映る。
「でも、星の数が圧倒的に違う」
「ああ、これだけでもここに来てよかったかもしれねえ」
呟くように跡部が声にすると、ゆっくりと深呼吸をした。
「さて行くか」
そう言うとぎゅっともう一度私の手を握り直し、そのまま半歩前に出た。
立ち止まり星を見たのはわずかな時間だったと思う。
(何かいる……?)
先ほどのグリズリーや狼のせいか、獣の気配に敏感になっている自分がいる。だが、それは少年跡部も同じだった。
「……何か近づいて来てねえか?」
彼の指先からこちらに緊張が伝わる。
警戒心が再び私たちに戻った。
目線を木立の暗い陰に送ると獣の目がいくつか光っているのがわかった。
こちらを窺ってはいるが、それが獲物としての様子見なのか、相手のパーソナルエリアに私たちが接近したため向こうも警戒しているのか読み取れない。
「また狼か?」
「わからない。別な群れか、違う野生動物か」
はたまた肉食か草食か、とまでは口にしなかった。跡部も疲れて来ているだろうし、緊張もそうそういつまでも続けられない。
(どれくらいの集団だろう)
この公園を抜けて人のいる場所まであとどれくらいだろう。様々に考える。
数匹の獣は付かず離れず、ただずっと着いてくる。
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