トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「資産家の子弟は常に誘拐には気をつけるよう心がけている。親からも言われているし、外出時にはボディーガードもつく。だが、まさか自宅でやられるとは思わなかったぜ」
とても子どものセリフとは思えないことを淡々とこの子は言ってのける。
生活環境なのか、達観しているのか、跡部景吾だからなのか、まあ、泣きまくられるよりかはマシだな、と自分でも割り切って考えることにした。
「とりあえず、ここから出るのが先決だけど、君を誘拐した連中と鉢合わせるわけにはいかないよね」
「……」
「どうかした?」
「……ここは観光地で公園なんだろ? シーズンオフなわけでもねえし、なんで誰もいねえんだ?」
彼は湖を凝視すると、ハッとしたように立ち上がりもう一度看板にへばりついた。
「……まさか」
「……あ」
私もその注意事項に気がついた。
【熊が発見されたエリアはしばらく封鎖されます。指定されたエリアにおられる方はレンジャーの指示に従いただちに車で退避してください】
「……ここはグリズリーベアが出るのか」
「……らしいね、つか絶賛徘徊中じゃない? 人っ子一人いないってことはさ」
話ながらも二人並んで看板の注意書を食い入るように見つめて読んだ。
もしも車から離れた場所で熊に遭遇したら云々とあるが……
「……走って逃げてた時なんだが」
「うん」
「ずっとガサガサと草や木の枝を踏みつけて追いかけて来る音がしていたんだ」
「……うん」
「あいつらだと思って必死になって走って来たんだが、どう思う?」