トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『で、聞いたっスか? 一ノ瀬さん!』
『だから赤也、お前は割り込むなって』
「いや、あのね」
何というか、元の世界に戻った私が持つ切原くんの携帯に、しばらくしたら電話がかかって、発信者名『幸村部長』に、あれ? と思いつつ出たら、なぜかあの高校生の幸村くんからで、
『え、あれ? 一ノ瀬さん? あれ? 赤也にかけたんだけど……』
『え、あれ? 幸村部長に一ノ瀬さんスか? あれ? 混線してんスか? つか一ノ瀬さんと話せるってマジっスか?』
わけわからん。
『つまり、病室でかけた時に俺の携帯とも繋がりが出来たってことだね』
「そうみたい。けど、ややこしいね。切原くん宛ての電話は必ずこの携帯まで繋がってしまうって」
『フフ、まったくだね。ああ、そうだ赤也』
『何スか、部長』
『番号変えなよ。そうすれば俺が一ノ瀬さんにかけたい時にかけられる』
『え、イヤっスよ! 抜け駆け禁止っス!』
切ろうとする私に、幸村くんは笑って聞いてていいよ、なんて言うけど面倒なことこの上ない。
部活の連絡網とかならまだしも、込み入った内容なら聞かされるこちらが困る。
おまけにメールまで筒抜けときているから、明らかに切原くん宛てとわかるメールは削除するようにしている。
というか、あらかじめ『これ、赤也宛てだから』と件名に書かれてあるので読まずに済む。
というか、一番困るのは
『だから切原、お前が切れって』
『何言ってんだよ! かけたのは俺! いくら二個上だからって威張るんじゃねえ!』
中学生の切原くんからかかった電話が、高校生の切原くんにまで繋がってしまうということだ。
「番号が同じなせいだな……」
もうため息しか出ない。