トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「ほおう、そうなると赤也と幸村が同じクラスになることもあり得るっちゅーことかの?」
「あ、そうじゃん! くそー、俺一度も幸村くんと一緒のクラスになったことねえってのに」
「へへん、羨ましいっしょ、丸井先輩」
仁王くんの言葉に丸井くんが乗れば、切原くんも得意気だ。
「そう言えば、俺ってレギュラーと同じクラスになったことってないな」
幸村くんが記憶をたどるように小首をかしげ
「だから、真田や丸井たちがちょっと羨ましいって思った時期もあったな」
懐かしむように目許を緩めた。
「ならば精市、もし赤也と同じクラスになったなら、赤也が授業中居眠りなどしないように監視して貰いたい」
「いっ!」
「うむ、それは良案だ。今まで赤也を厳しくいさめられる輩は同学年にいなかったからな」
柳くんの提案に真田くんも腕組みで応え、丸井くんたちは笑い、切原くんはしょげた。
とんだやぶ蛇だね、切原くん。
でも、そんなことくらいでメゲる切原くんではないだろう。
今までレギュラーと同じクラスになったことがないのは切原くんも同じだしね。
「幸村くん」
軽いノックの音で部屋の扉が横に滑ると、看護師さんが顔を覗かせた。
「団体さんがお見舞いに来てるけど、どうする?」
「団体?」
「他校生ね。みんなテニスバッグ持っているから、部活繋がりだと思うわ」
看護師さんの言葉にメンバーも顔を見合わせた。
「どんな制服ですか?」
「学ランとブレザーで、ブレザーの子たちは赤いネクタイよ」
学ランに赤いネクタイ……
「青学と氷帝かよ」
「なぜまた二校同時に」
「たまたまじゃろ」
「そうだな、跡部と手塚が仲良く待ち合わせて来るとは思えん」
「お通しする? でも談話室のほうがいいかな、人数多いし」
「そうですね、お願いします」
「わかったわ。それじゃ、上の階の談話室に案内するから幸村くんもそちらに行ってね」
そう告げた看護師さんと目が合ったけれど、それはそのまま逸らされた。
先ほど私にこの隣りの部屋に案内し、検温と入院の説明をしてくれるはずの人とは思えない、まるで知らない人間を見る目だった。
ここでの私の役目は終わった、とその時思った。
遠くで戦闘機が旋回する爆音が聞こえる。
そろそろこの世界ともお別れだろう。
「もしかして、もう帰ってしまうのかい?」