トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「皆、聞いてくれる……?」
不安げな声が幸村くんから出ると、ここからが本題だ、と姿勢を正し一斉に耳を傾ける。
「……今日、皆がくる前に担任から連絡があったんだ……」
その時、上着のポケットに入れた切原くんの携帯の画面が不意に明るくなるのが視界の端に入った。
「……俺の留年が決定したって」
「……え」
「う、嘘だろぃ……」
「俺だって嘘だと思いたい。でも、中学と違って高校は義務教育じゃないから、成績だけではどうにもならない。例え今日退院出来たとしても、リハビリも必要だからすぐの復学は無理だし、どうやっても規定の出席日数に届かないんだ……」
唇を噛み視線を落とす幸村くんに、シンとした病室内の空気が次第に張りつめていく。
「……ねえ、赤也」
「え、な、なんスか」
やがて幸村くんの何かを決意した眼差しが静かに切原くんへと向いた。
それを受け止める切原くんは、どうにか返した声がカラカラに干からびて、緊張感が増したように見える。
「新学期から赤也と同じ学年だけど、変わらず仲間だと思ってくれる?」
瞬間、切原くんの頬が真っ赤に染まり一気に破顔した。
「あっ、当たり前っス! 俺、俺、中三の一年間がどんだけ寂しかったか! 置いてけぼりにされてどんだけ辛かったか、先輩たちにはわからねーと思います! けど、幸村部長が一緒にいてくれるなんて、部長にはショックかもしれねえスけど、俺には夢みてえっス!」
両拳を握り、何度も上下に振り回す切原くんにメンバーの顔もようやくほころぶ。
「ありがとう、赤也」
幸村くんが花のように笑った。