トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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『もしもし、近江だけど』
柳くんから手渡された携帯から千晶の声がかすかに聞こえた。
「……突然だけど、キミにとって友達ってなに?」
『あら、ほんと唐突ね』
千晶もそうだけれど、今この場にいる誰もが思ったと思う。
「真面目だよ。茶化すつもりはないからキミも真面目に答えて欲しい」
幸村くんの整った横顔は何も感情を宿していない。
それを見る周りのメンバーは哀しげだ。
『そうね……ありきたりかもだけど、かけがえのないもの、かな』
「……」
『例えば家族はどんなに齢をとってもずっとお父さんはお父さん、お母さんはお母さんでしょ?』
「ああ」
『でも、友達ってクラスが変わるだけで終わっちゃう薄い関係から、卒業して社会人になっても続く深い繋がりのある人までピンキリよね』
「ああ」
『私と浩美はね、そういう付き合いのできる友達だと思ってる。だから、学年が離れたって何の支障もないの。自分がこの人と仲良くなりたいと思ったら、年齢も性別も国籍も一切関係ない。だって、友達に基準なんてないでしょ? あるのはその連中とずっと共に過ごしたいかどうかよ。違う?』
「……そう、だね」
『幸村、後は勇気だけだと思うよ』
「勇、気……?」
『そう、そこにいる連中に告げる勇気』
「な、ぜ……」
『浩美と同じだから』
「……え」
『「ダブっても友達でいてくれる?」そう浩美が言いに来た時と、ね』
「……」
『……』
千晶が何と言っているのかは、一番近い私でもあまりよく聞き取れない。だから、言葉少なに応える幸村くんの様子に室内のメンバーが緊張の糸を張り詰めているのがよくわかる。
「……キミは、それになんて答えたの」
『「もちろん、少しだけ先に行って待ってるから」そう言ったよ』
「そう、か。ありがとう。よければそちらの幸村に代わって貰えるかな」