トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「切原くん、切原くんと話して貰えるかな?」
「……え?」
私が携帯を指差し、そのまま持っている手を切原くんに差し出した。
「切原って、マジ?」
「うん、現在中学二年。時期は全国が終わった頃かな」
「全国……」
かすれたように小さくつぶやいた切原くんは、意を決したように恐る恐る差し出した携帯に触れた。
「も、しもし……切原、だけど」
『……う、お、俺も切原、だ!』
ようやく発したこちらの切原くんの問いかけに、向こうの切原くんもかなり緊張して応えているのがわかる。
「……」
『……』
二人の沈黙に、室内のメンバーも固唾を飲んで見守る。
なかなか会話は始まらない。
お互いに半信半疑だと思う。
でも、それが普通で当たり前だ。私は両方のメンバーと顔を合わせているけれど、それでも不可思議さは拭えない。
ひとつ呼吸をしたこちらの切原くんが、ゆっくりと口を開いた。
「……お前が、中二で全国が終わってるなら……一言言っとく」
『な、んだ?』
「俺が、部長を引き継いだ三年の夏、全国の頂点に立ったのは立海だっ……! 俺たちは全国を奪い返したぜっ!」
『マジか!』
「おお! だからお前らも勝てよっ! 王者立海は不滅だぜっ!」
『っしゃー!』
拳を握る切原くんと、二つのメンバーの間に不思議な高揚感が満ちるのがわかる。
「そちらにも柳蓮二はいるだろうか? もしいるのならばぜひ話してみたい」
「あ、それなら俺だって話させろぃ! 進学前にドジったもんがあるから、それ注意させねえと」
「ああ、それなら俺だって」
「たわけが! 静かにせんか!」
真田くんの怒号で一見騒ぎは収まったけど、皆のそわそわ感は隠せない。
「ねえ、ここじゃなく休憩コーナーか外で話せばいいんじゃない?」
「え、いいんスか?」
「どうぞ。二年前の自分にアドバイスしたいこと、たくさんあるでしょ?」
私が笑いかけると、即座に笑顔が返った。
「それじゃ、お借りしまっス」
さざめきが病室から次第に遠のくと、ベッドの幸村くんに声をかけた。
「さて、続きを話そうか」