トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「一ノ瀬さん、お部屋決まりましたよ」
「……は?」
休憩コーナーで呆然としたままの私に、私を探していたらしい看護師さんが声をかけてきた。
部屋? 一体なんの話しだ?
この世界に私のことを知っている人など一人もいない。
なのにこの看護師さんは私の名を呼んだ。
「……」
わからないまま私はその人の後をついて行った。
「え」
ここよ、と言われて示されたのは、先ほどの幸村くんの病室の隣りだった。
なぜ病室?
疑問と不安感で開けられたドアの中へ入ることなど出来ずにいた。
「あら、幸村くん」
「……っ!」
「……もしかしてお隣りさん、かな?」
静かに開いた自室のドアから姿を現したこの世界の幸村精市は、少しだけ驚いた表情を浮かべたけれど、すぐにそれは隠されよそ行きの愛想笑いへと変わった。
「そうよ。今ちょっと大部屋の空きがなくて、一時的にここに来てもらったの。一ノ瀬さん、お隣りの部屋の幸村くん。男の子だけれど、同じ高校二年生だから話しが合うかもしれないわね」
楽しげに語る看護師に、私はまたひとつ悪寒を覚えた。
高校二年。私の情報はどこまで掴まれているのだ?
入院を決められ、幸村精市の隣りの病室にされたということは、少なからずこの世界で私は何かをしなくてはいけないということなんだろう。
そう、特に幸村精市に対して。