トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「私さ、今自分が凄く嫌なんだ」
不意につぶやかれた千晶の言葉に、その場にいるレギュラーメンバーが急になんだろうと全員注目した。
「どうしてですか?」
柳生が静かに尋ねると
「来月共通テストなの」
「え?」
この場の雰囲気にそぐわない、意外な返事が来た。
「共通テストということは、近江さんは高三だったんだ」
「えっ? 高二じゃなかったんスか? 一ノ瀬さんが最初に高二って言ってたから、俺二人とも高二なんだとばかり思ってたっス!」
幸村が言うと切原が驚きの声をあげた。
「うん、浩美は二年だけど、友達に学年は関係ないから」
まっすぐ前方を見据え、迷いなく告げる千晶に幸村たちに穏やかな微笑みが浮かぶ。
「で、その共通テストが問題なのか?」
柳の疑問にそれぞれもうなずきながら千晶を見つめる。
「……浩美が大変な目に遭っているのに、私は共通テストの心配をしているの。異次元に行ってるなんて、他の子たちは知らないから、私しか浩美のこと心配してあげられないのに、私は大学入試も気になって……勉強も浩美のことも中途半端なの」
見据えた瞳は力なく下を向き、膝の上で握られた拳も弱々しかった。
「いや、それに関して近江さんが卑下することはない。大学入試は人生を左右すると言っても過言ではないだろう。だが、この次元移動は我々にはどうすることも出来ないのも事実だ。いかに心配しても、手をこまねいて待つしかない」
物々しい真田の言い分に、レギュラーはもう一度うなずくしかなかった。