月光小夜曲*
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忍足さんは、あたしに甘い。
不二先輩は違う。
それに一番の差は、試合経験だ。あたしにはない。
あたしの動ける時間は決まっている。
あたしの球威が落ちて来ている…デュースが続くようになってしまった。
まずい…。
短時間で仕留められなければ…自滅だ。
ちょっと…限界かな…。
足がもつれた…。
「七星!」
あたしが打ち返したボールに見向きもしないで、自分のラケットを投げ捨てると
あたしがコートに倒れる寸前、不二先輩は軽々とネットを飛び越え、誰よりも早くあたしを抱き止めてくれた。
「高寺!」
「七星ちゃん」
一斉にメンバーが駆け寄る。
集まった人の輪を切り裂くようにして、七星を抱き上げた不二が走る。
「不二!」
走る不二の背中に、手塚が声をかける。
「後で!責任は僕が取るよ!」
あたしが保健室のベッドで目を覚ましたのは、それから2時間後だった。
保健室の中は薄暗くなっている。日も傾いて、黄昏の色が濃くなりつつあった。
「先輩…」
不二先輩がベッド脇のイスに座って、あたしを見ていた。
「ごめんね。つい本気出しちゃった」
先輩は、いつものように微笑んで言った。