トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「まさか……」
そう思った。
千晶と向かった先は、テニスとは何の関連もない世界だ。
しかし、まるで何かに引っ張られるかのようにして、ここに来てしまった。
それに、なぜ病院なんだろう。
テニスなら、それぞれの学校に到着するはずだからだ。
「……」
あまり考えたくはないが、この病院に幸村くんが入院しているからとしか思えない。
「最悪……かも。幸村くんの入院て、中二の冬から中三の夏までだよね」
だったら、今の幸村くんは私を知らない。
私が会った時の幸村くんは、すでに退院して全国大会前後だったはずだから。
ここは過去なんだ。
頭を抱えたくなった。
蜘蛛の糸のように、頼りないけど確かな助け手が現れたと思ったのに、それはすぐに切れてしまった。
「あ、そうだ……」
私達が行った時は、この世界では跡部財閥の後押しで次元移動が実用化されていた。
次元移動なんて代物が、半年やそこらで完成するわけがない。そんな簡単に出来上がるプロジェクトなら誰も苦労はしない。
「よし、こうなったら跡部くんに会って実験台でも何でもなって、元の世界に戻して貰おう」
元々実験台でここへ来たんだから、今さら何を恐れる。
それに、半年後にお披露目が出来るくらいなら、実験なんていくらでも行われているはずだ。
つまり、跡部くんに会って説明すれば事は無事に収まる。
私はそう結論づけた。
「でも、もしかしたら私がこの場所に来たのって、何か意味があるのもしれない……」
氷帝へ行こうと踵を返したが、白い建物がそれをさせまいとするかのように足が止まる。
「少し遅れるくらい大差ないか」
跡部くんの家なら場所はわかる。
意を決した私は、まだ見知らぬ幸村くんに会ってみようとその白い建物へ身体を向けた。