トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「つながらねえ……」
いつもなら耳に入るノイズすら起こらない。
「メ、メールは?」
震える千晶の声に、丸井の指先もつられる。
「送れねえ……」
画面には『送信出来ません』の文字が虚しく浮かぶ。
「浩美……」
腰が抜けたように千晶がその場にへたり込んだ。
「近江さん!」
あわてて柳生が駆け寄り、もう一度椅子に座らせた。
「一体、何が起きてるんだ……?」
幸村の言葉に、全員がテーブルに置かれた携帯を見つめるしかなかった。
「ここは……」
どこなんだろう。
気づいたら千晶がいない。
周りの建物や看板から、現代の日本なのはわかった。
ただ、どの次元の日本なのかはわからない。
自分の世界と変わらないようだが、油断は出来ない。
自然と拳を握り、肩に力が入る。
それでも、物凄い不安感が押し寄せる。
自分の世界なら、一人になっても家に帰る手段はいくらでもある。
だがここは異次元だ。
千晶とはぐれてしまったら、知り合いなど誰もいない。
とりあえず自分が今いる場所を把握せねばと思い、立ちっぱなしだった道路端から一歩踏み出した。
行くあてなどどこにもないが、いつまでも立っているわけにはいかない。
辺りを見回しながらゆっくりと歩いていく。
どうやら幹線道路からは少し奥まった住宅地と商業地が入り混じった所のようだ。
いくらも行かないうちに、大きな建物が目に入った。
ほどなく、その建物に付いている文字が読めた。
「金井総合病院……」
私はこの建物の絵を誌面で見た覚えがある。
ここはテニスの世界だ。