トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「赤也! 今のボール届いたよ! もっと気合い入れて」
「はいっ!」
立海大での放課後。いつもの部活が始まり、部長幸村が発破をかける。
「部長! 一年外周終わりました!」
「よし、5分休憩してから二班に分かれて。蓮二、メニューの指示」
「ああ」
コート上に目を走らせ、次々と指令を繰り出す幸村に、部員達も必死に応える。
「あ……れ……?」
流れる汗を拭うため、ベンチのタオルを取り上げた切原の視界の隅で、陽炎のように何かが滲んで揺れた。
「……あ、あ、あーっ! アンタっ! あん時の!」
「うるさいよ、赤也。一体何を……」
叫び声をあげコートの片隅を指差す切原に、幸村を始めテニス部員全員が視線を向けた。
「切原! 携帯出して! 早く! 急いで!」
「……近江さん?」
切原が驚くと同時に、不意に現れた千晶も猛然と切原の所まで駆けつけるなり叫んだ。
「浩美がいないのっ! 一緒に出たのに途中でいきなり浩美が消えたのっ!」
「えっ……」
「一ノ瀬さんが、消えた?」
状況が飲み込めず、焦る千晶と対照的に、幸村達はなぜまた千晶が再び来られたのかがわからないまま、呆然と突っ立っていた。
「とにかく! 携帯! 浩美の携帯を出して! ……お願い……」
千晶の目からあふれ出した涙に、やっと事の重大さを汲み取った幸村が、自分の周りに自然と集まったメンバーに指示を出す。
「真田と蓮二は、一、二年の指導をメニュー通りに。レギュラーは部室に集合! 近江さんも……」
ここまでの緊張が切れ、堪えきれずに泣きじゃくり始めた千晶の肩に幸村がそっと手を置いた。