トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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『パラレル・どっと・混む2』
~Long Good-bye~
「ねえねえ、浩美。今週の土日暇よね」
いつもと代わり映えのない朝の登校風景に、いつもと同じように途中で合流した友人、近江千晶が混じる。
「まさかと思うんだけど」
「うん、話が早くて助かる。そのまさかだよ」
私が探るように言ったというのに、いともあっけらかんと千晶は返してくれた。
「なに、またテニス?」
「うんにゃ、人捜しだって」
「え?」
人捜し? なんだろう、今度は探偵物の世界だろうか。
「あの後ね、私達がちゃんと戻れたからって本格的な実験で10人くらいを色んな時代や場所、次元に送ったんだって」
嫌な予感がする。
「誰も帰って来ないんだって……」
「……ということは……」
「唯一成功した私達に、もう一度次元を超えてくれって。行方不明の人達を捜し出して欲しいって」
例の天才的科学者に、そう頼まれたようだ。
「誰も帰って来ないから、むしろ私達の帰還のほうが奇跡的だったって、今になってあわててるんだよね」
事が事だけに、いつもの千晶と違いしんみりしている。
「そうなんだ。でもそれならきっと、マウス、チンパンジー、私達って順当に来たから、それでもう完成したって思っちゃったんだろうね」
「多分ね」
「いいかな浩美」
「もちろん」
少しだけ遠慮がちな千晶に思い切りうなずく。
行方不明の人達、誰だってみんな家族がいる。
それが別次元の狭間に迷い込んだなんて言われたら、どうしようもない絶望感しか湧いてこないと思う。
確かに私達だって、また戻って来られる保証はどこにもない。テニスの世界から戻れたのも、たまたま運がよかっただけなのかもしれない。
それでも、もしも自分が次元の狭間で行方知れずになってしまったとしたなら、少なくとも家族と、この友人である千晶は心配してくれるであろう。
だからもう一度、千晶と次元を超えることにためらいはなかった。