トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おおっ!」
「仁王?」
「先輩?」
「見んしゃい! 赤也! メールを受信しちょる!」
「え? ああ!」
壊れていて、基盤交換しないとダメだろうと言っていた携帯の画面の上にメール受信のマークが点滅している。
「確認……してみなよ、赤也」
幸村の声もわずかにうわずる。
「……っス!」
初めて使う携帯に、戸惑いながらも切原はメールフォルダを開けた。
「あっ!」
「赤也?」
「こっこれっ……俺のアドレス……」
「え……」
「俺のアドレスからメールが来てんスよ!」
携帯を両手で握りしめる切原は、画面を凝視したまま叫ぶ。
住所録に登録されていないアドレスは、そのままの姿で通知されていた。
「じゃ、これ、本当に……?」
「一ノ瀬さんが俺の携帯から送ってくれたんスよ! 俺の携帯も向こうで生き返ったんスよ!」
切原が何度も制服の袖口で目をこすった。
「やったぜよ、やったぜよ!」
仁王が切原の背中を思い切り叩く。
「に、仁王先輩痛いっスよ!」
「メール、何て書いてある? 早く教えてよ、赤也」
せかすような幸村に切原もあわてる。
「今みるっス! あ……」
開けたメールには画像が添付されているマークがあった。
「ああっ!」
三人の声が重なる。
画面の中で今より幼い切原が仲間と一緒に笑っている。
「これ、覚えてるよ。去年の全国大会の後だ」
みんなでラケットを合わせ、それぞれ手にボールを持っている。
「姉ちゃんが撮ってくれたんスよ」
切原も想いを馳せる。
「……本体データから送ってくれたんだね」
「そっス……」
切原が再び目をこすった。
もう二度と見られないと思っていた、記憶の中の写真が時空を超えて送られて来たのだから。