トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「仁王、五分経過。着替えて。赤也も」
幸村も準備が終わり、手首のサポーターの位置を整えながら二人に視線を投げた。
柳は先にコートへ行き、一、二年に指示を与えている。
「仕方ないのう」
ダルそうにゆるゆると身体を起こした仁王は、背筋を伸ばし肩の凝りをほぐすような仕草で答えた。
「赤也」
無言の切原の背中に幸村がもう一度声をかける。
「……充電、出来たっス……」
「ほうか、それはおめでとさん」
意にも介さず、ただ面倒そうに立ち上がった仁王がそう言うと、
「み、見て下さい先輩っ! 一ノ瀬さんの携帯がっ、じゅ、充電出来るんスよ!」
壁際から勢いよく振り返った切原の手の中で、あの日壊れた携帯と交換した幾分華奢な携帯が、充電中の証である赤いランプを誇らしげに灯らせていた。
「かっ貸してみんしゃい赤也!」
「仁王先輩?」
「充電出来るなら、電源が入るぜよっ!」
ひったくるように切原の手から携帯を奪った仁王は、震える指先で電源ボタンを押した。
「……」
三人が固唾を飲んで見守る中、ゆらりと画面が明るくなり携帯会社とメーカー名が静かに映し出されていく。
「入った……!」
「……やった!」
やがて、本体のデータを読み取った携帯は待ち受け画面を三人に見せた。
「あっ!」
「これっ……!」
「これが……っ」
暁の空を、雲を割って垂直に駆け上がる一機のシルエットがそこにあった。
「F-15イーグル……」
ここで会えた。こんなところで会えた。
戦闘機の王者だと、俺達と同じだと言ってくれたF-15イーグルが……
ここにいた。