トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「はよっございまース!」
翌朝、テニス部の朝練もまだ始まっていない時間に部室のドアが元気よく開いた。
「驚いたな、赤也。これから季節を巻き戻すか進めて雪でも降らす気かい?」
「まったくだ、赤也が今日遅刻する確率は82%だった」
自身も着いたばかりで、着替えようとしていた幸村と柳が驚きの声をあげる。
「へへ、理由は簡単スよ。今日は真田副部長が風紀当番スから、部室で携帯の充電しようと思って持ってきたんスよ」
昨夜充電忘れちまって、と言いながら鞄を漁り始めた。
「たるんどるのう」
今の会話を聞きながら仁王もやってきた。
「そういう仁王も早いな」
「真田と柳生が当番じゃき、正門に立たれる前に来ただけぜよ。掴まって説教はごめんじゃ」
そう言うと仁王は着替えもせず、部室のテーブルに突っ伏した。
「仁王、真田はいなくても俺がいるんだけど」
仁王はそのままの体勢で、腕だけ起こすと手のひらをパッと広げた。
「五分だけ、頼むナリ」
「仕方ないね」
「甘いな、精市は」
「コート外ではね」
「確かに」
「げっ!」
三人の会話が続く中、切原がうめく。
「どうした、赤也」
「それが……充電器、間違えて持って来ちまってて……これ以前のガラケーのっスから、今のスマホに使えないんスよ」
気落ちしたように切原が言う。
それもそのはずで、手にあるスマホの残りの電池はわずか10%しかない。切原も焦るというものだ。
「ガラケーの充電器でも、スマホ用の変換器を差し込めばそのまま使えるぞ。100均で買える程度の物だ」
「え! そうなんスか? なら帰りに寄ってみるっス。充電器も二個あれば予備になるし……て、そうだ……試してみるか」
「え」
「うん?」
切原の言葉の後ろはつぶやきに変わり、幸村と柳には聞き取れなかった。