トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「景吾おぼっちゃま」
「なんだ?」
「おぼっちゃまに会わせろとおっしゃるお若いお嬢様方が大勢お越しなのですが、いかがなさいましょう?」
いささか疲れた様子の執事長が、食事の後片付けを始めたメイド達の間を縫うように現れ、そっと跡部に耳打ちをした。
「雌猫どもか?」
「さようで、躾が足りておりません」
「追い返せ」
「試みましたが、このまま閉め出しますと、確実に住居不法侵入を犯しますかと」
「……チッ、仕方ねえ。目当ては俺様だけか?」
執事長はチラリと他の二校のメンバーに目を走らせた。
「いえ」
「フン、一気にやるのが得策か。おい、立海、青学」
呼ばれた二校が一斉に振り向いた。
「なんだろね」
私達を除く全員がぞろぞろと出て行って、しばらくしたら悲鳴と叫び声が屋敷中に響いた。
「多分、観光客。異次元からの」
「え? 私達以外にもいるわけ?」
「うん。千晶が氷帝へ向かった後にも何人か来たんだよね」
「へー!」
立海でキャーキャー騒いでいた女子達を思い出す。
あの子達が今来ているのかな。
でも、そうじゃないと少し不憫な気もする。
せっかく時空を超えたのに会えないなんて、悲惨だし。
叫び声はしばらく続き、げっそりしたみんなが戻った時には静かになっていた。お疲れ。
まるで観光地でのオプションみたいだな、と思った。
「部長~持ってきたでヤンス~」
「ああ、ご苦労。悪かったね、今日は休みなのに」
「部長のためなら何のそのでヤンス~」
一昨日立海で見た、ヘアスタイルと語尾が微妙な男の子が、荷物を背負ってやって来た。
「おぼっちゃま、ご指定の品がただいま届きました」
「よし、持って来い」
「御意」
椅子で足を組む跡部くんはどこまでも偉そうだ。
(ハッ、もしかして跡部くんがラスボス?)
あの高笑いでマントを翻してコートに登場したら……
似合うじゃないか。
背景には薔薇希望。あとキラキラした何か。
これでもかって、薔薇背負って、散らして、打つたびキラキラして、笑って、形勢が悪くなったら指鳴らして何か出して、めちゃくちゃ卑怯な手段で勝って欲しいな。