トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「立海は騒がしいな」
落ち着いた雰囲気の氷帝テーブルでは、跡部が優雅にパンをちぎり、作りたてのジャムを乗せている。
「どうやらあのお二人に記念のプレゼントを贈るようですよ」
立海テーブルに近い位置の鳳が、漏れ聞いた情報をそのまま伝えた。
「プレゼントだと?」
「あ、そういや今日帰っちまうんだっけ?」
向日の疑問に日吉が黙ってうなずく。
「立海で出すんやったら氷帝も出さへんとな? 跡部」
「当たり前だ! それも立海よりはるかに豪奢な物をな」
鼻で笑う跡部は、これでもかという得意満面な顔で
「で、立海は何を贈るんだと?」
鳳に聞いた。
「おまんじゅうです」
跡部の顔が理解を越えた。
「まんじゅうとはあのまんじゅうか?」
「はい、多分部長が思われているおまんじゅうで間違いないと思います」
「なんでまんじゅうなん?」
忍足も食事の手が止まる。
「立海のセンスが激ダサなんじゃねぇの?」
宍戸は変わらず手を動かしフォークを口に運ぶ。
「あの人よく食べてるC~」
うつらうつらしながらも、モゴモゴと口を動かす芥川。
その芥川の後方で、青学テーブルで食事を共にする千晶と浩美。
千晶は大いに食べ大いに喋るが、浩美はただ黙々と食べ続けている。
「そういやそうか」
「そやな、ひたすら食べとるわ」
「なら、氷帝からはふるいつきたくなるようなデザートを贈ろう」
立ち上がった跡部の指先から、澄み切った音が解き放たれる。
瞬間、浩美の顔が上がり、羨望の眼差しがその指先に注がれた。
応えるように跡部は満足げな微笑を浮かべた。
「ふむ、そうなると我が青学は乾汁以外考えられないな」
「うん? 乾なんの話だい?」
残念なことに千晶との会話で盛り上がっていた青学には、氷帝と立海の話は届いていない。
「楽しい話だよ」
一人、不気味にほくそ笑む乾に、大石は少し椅子を離した。
そして早めに食事を終えた乾は跡部邸の厨房を借りようと、大股で廊下に出た。
「どのレシピがいいだろうか」
頭の中でメニューを組み立てる。跡部の家ならば、あらゆる食材が揃っているだろうと期待に興奮していくのが乾本人にもわかった。