トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌朝、問題がなければ今日中に自分の家に戻れる、と、昨日と変わらぬ快晴の庭園に立って思った。
この優雅な跡部邸の庭園ともお別れか。
普通の旅行なら、また来ようと思えるけど、異次元旅行だもんな。
「おはようございます」
なんてことをつらつらと考えていたら、背中越しに声をかけられた。振り向けば、眼鏡の男子がいる。
確か手塚くんだ。この子も生徒会長だっけ。
「おはようございます。いい天気だね」
まだ手塚くんとはまともな会話をしていない。だから、天気の話題で始めるのが基本だ。
「そうですね」
「……」
うん、続かない。
「……」
「……」
まあ、いいや。
性格にもよるけど、男子中学生が面識のない女子高生に対してポンポン話題を振れるほうが奇特だ。
この子、真田くん並みに真面目そうだし。
ああ、よく見ればこの子も将来お得な老け顔タイプじゃないか。
「よかったね」
そう思って軽く肩を叩いたら
「……何が、ですか?」
これでもかと眉間に皺を寄せられた。
「あの二人が帰る時間て決まっていないみたいだから、なるべく急いでここでしか手に入らない土産をあげたいと思うんだけど、何かあるかな?」
幸村が朝食のテーブルを挟み、立海レギュラーを見渡しながら提案した。
「幸村、それはちいとばかり難しいぜよ。時代も国も生活も同じじゃし、テニスが特出しとるらしい以外は向こうと変わらんみたいじゃからのう」
「かと言って、ラケットやボールが特殊なわけでもなさそうですから、それを贈るというのも今ひとつですね」
仁王の意見に柳生もうなずく。
「こっちの菓子も一字違いくらいでどれもあるみたいだしよ」
みんなが腕を組み、天井を見上げたりして考え込む中、丸井の言葉にひらめいたのかジャッカルが叫んだ。
「立海まんじゅう!」
「え?」
「あれ、俺ら立海生ですら買えないほどの限定生産じゃないのか?」
「ほう」
「いんじゃね? ジャッカルのくせにいいもん思いついたじゃんか!」
「俺のくせにってのは余計だって」
「言われればいい案だな、どうだ精市」
丸井とジャッカルが騒ぐ中、柳もまとめる。
「そうだね。すぐ学校に連絡して、業者に明日の分を回して貰えるようにお願いしてみよう」
携帯を手に幸村が立ち上がった。