トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「あ、なら昨日の近江さんは5~6Gを体験して来たってことっスか?」
「そうなるね、それで気持ち悪いだけで済んだんだから、案外彼女も丈夫だわ」
その、頑丈な千晶は熱心に試合を見つめている。
「あの人、試合はちゃんと静かに見てくれるし、ミーハーっぽいけどいいミーハーっスね」
「そうですね、観戦マナーはきちんとされていますし、その点は好ましいですね」
よかったね千晶。好感度アップしてるよ。
そうこうするうち午前の試合は終わったらしく、ぞろぞろと皆が戻って来た。
「一ノ瀬さん、F-15の速度って具体的にどんな感じなんスか? マッハ2.5って言われても、全然ピンと来ねえんで」
ちょっと困ったように切原くんが眉を寄せた。
「うん、離陸から高度2万メートルまで123秒。そこから高度3万メートルまで208秒」
「秒……っスか」
かっけー、と小さなつぶやきが聞こえた。
「聞けば聞くほど戦闘機の王者なんだね」
「うん。でも、今は地上攻撃能力を追加されたストライクイーグルが最強の戦闘機とも言えるし、ハイテクの固まりのステルス戦闘機もあるから、F-22ラプターやF-35Aも最強の仲間に入ると思う」
だけど、
「私は能力を1点に絞ったイーグルがいいんだ。空の更なる高みを目指して超音速で駈けるイーグルが」
「何だか嬉しいよ。キミは立海が戦闘機の王者イーグルだって言ってくれた。そのイーグルが一番いいと言ってくれて、凄く嬉しいよ。ありがとう」
幸村くんが、輝く日差しの中でこぼれるように笑った。
ランチは天気もいいので庭にたくさんテーブルを出し、バイキング形式になった。
「一ノ瀬さーん、こっちこっち」
切原くんに呼ばれ、色々盛り付けたお皿と飲み物の入ったグラスを持つと立海メンバーの集うテーブルに向かった。
途中、千晶が青学メンバーと一緒に談笑している姿が見えた。
アクティブに楽しんでいるようでよかった。
「ところで、イーグルの他に好きな戦闘機ってあるんスか?」
ご飯大盛でつゆだくな牛丼をかき込みながら、切原くんが聞いてくる。
「あるよ、もう一機。零式艦上戦闘機」
「ふはぃ?」
頬張ったまま切原くんが、目をパチパチさせる。
「零式?」
「え、手塚?」
「いや、ゼロ戦」
周りの声に、パスタをフォークに絡めながら答える。