月光小夜曲*
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『15―0』
息を飲む音がコートに重なった。
「高速サーブ…なぜあんな小柄な体から…」
大石が目を見開くようにしてつぶやいた。
「…基本はジャンピングサーブだ。身長と体重の足りない分を、あの高い位置のジャンプから全身で叩き込んでいるんだ…」
乾も呆然とつぶやいた。
『30―0』
(本当に死角を突かれる…。これが君の『次の一手』なのか…)
返せないボールがある…。
僕や手塚のように、消えたり、弾まなかったり、戻って来たり…そんなボールは返すのが難しいだけで、出来ないわけじゃない。
だが君のは違う。
素直に返せない…。
身動きが取れない…。
『この一球は絶対無二の一球なり』
そんな言葉が頭に響く…。
テニスをする心。
無欲無心で、ボールの飛びたい方向にラケット面を当ててやる…。
ただそれだけで…返せなくなる…。
君は勝とうと思っていない…。
『40―0』
興奮でゾクゾクする…。
君はやっぱり凄いね。
君みたいな女の子は初めてだ。
僕に立ち向かって来る。
機嫌を取ったり、よく見せようとしたりなんかしない。
君は遠慮なく僕をぶちのめす。
『ゲーム』
僕を─本気にさせたね…。