トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「どう? 美技に酔えた?」
「あ」
しまった、妄想のラスボスに気を取られていた。
「酔いそびれた、残念」
「ぷ」
「くく」
忍び笑いが広がる。
「お前さんのほうが愉快ぜよ」
そう仁王くんに言われたが、よくわからない美技と比べられても微妙だ。
気を取り直して改めてコートを見る。
ジャージのユニフォームが三種類。
「立海って強いんだな……」
風をはらむ芥子色のユニフォーム。しなる腕に躍動する筋肉。
芥子色のユニフォームに当たる別のユニフォーム達が次々と消えていく。
「俺達は王者立海。勝つことがすべてさ」
いつ来たのか、また幸村くんが横にいた。
試合してたのかな幸村くん。ごめん、見てなかった。
「そう、例えどんな野試合といえ負けることは許されない」
幸村くんに続き柳くんも戻っていた。
「へえ……だとしたら、立海ってF-15みたいだね」
「え」
「それは……?」
幸村くんと柳くんが同時に目を丸くした。
「F-15イーグル、純粋に戦闘能力のみを追求して作られた戦闘機。空中戦においていかなる状況でも最強の能力を誇り敵機を速やかに排除、制圧する、最高速度マッハ2.5の戦闘機の王者」
「……F-15のデータを詳しく教えてくれるか?」
柳くんがゴクリと喉を鳴らした。
「F-15イーグルは爆撃能力は考えていない。失敗が許されない開発を迫られた結果、余計なものはすべて切り捨て、武器は中距離用のAIMスパロー、短距離用のAIM-9サイドワインダー、接近用の20mmバルカン砲のわずかに三種だけで空対空、同じ土俵の相手のみと戦う」
「何の話っスか」
目の端に切原くんも戻って来たのがわかる。
F-15の話だと言えば、
「一ノ瀬さん、F-15好きっスね」
と、笑った。
「まあね」
切原くんの笑顔に私も笑い返す。
「F-15は初めてその性能が人間を越えた戦闘機なんだ。人が参ってしまう9G旋回の領域にいるからね」
「Gってあれっスよね? ジェットコースターとかで身体にかかる」
「そう、重力だ。ちなみにフリーフォールで0.1G、過激なジェットコースターの瞬間最大重力で3~4Gと言われているな」
へえ、柳くん物知りなんだな。
「一般人で耐えられるのが4G、筋肉質のアスリートで5G、戦闘機の旋回で5~6Gは常、6~7Gでブラックアウト、鍛えられたらパイロットで7~8Gってところかな」
「じゃ、9Gなんていったら……」
「そうだね、潰れちゃうかな」