トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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翌朝、割に早く目が覚めたので、千晶を起こさないように外に出た。
途中跡部邸のメイドさんに朝食まで少し時間があるからと、カフェテーブルのしつらえてある庭園に案内され、温かい紅茶を出された。
何だか申し訳ない。
しかし、こんな優雅な早朝はそう味わえるわけでもないのでありがたく頂く。
昇りたての太陽が、どこまでも広い跡部邸の庭園を隅々まで惜しげもなく日差しを降り注ぐ中、軽快な足音が近づいて来た。
「む、早いのだな」
そう言った真田くんは驚いたように私を見る。
「ちょっと目が覚めちゃって。真田くんこそ早いね」
「俺はいつもこの時間には鍛錬をしている」
「へえ」
立派なんだな、と思っていたらどこからかテニスボールを打つ音が聞こえてきた。
「ん? ああ、おそらく跡部だろう。あやつも基礎訓練は欠かさぬ」
古風な物言いの真田くんと音のするほうへ行ってみれば、彼の言う通り跡部くんが巧みなラケットさばきを披露していた。
「よう、早いな」
ここでも言われたので、たまたま目が覚めたのだと伝える。
「真田、せっかくだし軽く打たねえか? お前も身体は暖まっているだろ?」
「そうだな、打たせて貰おう」
テニスを見るのは初めてだ。
うちの高校にもテニス部はあるが、予算委員会で部長の顔を見かけたくらいだ。もちろんその顔も記憶にない。
「本格的にやるのは朝食後だが、その時は俺様の美技に酔わせてやるぜ」
メイドさんが呼びに来たので朝の訓練とやらは終わりを告げたが、美技って何だ?
ともかく跡部くんを見ていれば美技とやらで酔わせてくれるらしいので、ガン見することにした。
「フフ、跡部しか見ていないようだけど、どうしたんだい? 他の連中はつまらない?」
いつの間にか幸村くんが横にいた。
「いや、俺様の美技で酔わせてくれるらしいんで待ってるんだけど、美技って何?」
「え」
「ぶっ」
「おまっ」
周りの立海の人が笑った。
「美技はね、跡部の愉快な技達の総称だよ」
「部長ってばまた」
呆れる切原くんに、幸村くんはお構いなしだ。
「しかもちゃんと予告してくれるから大丈夫。多分そろそろ出るよ、そら」
「俺様の美技に酔いな!」
あ、ホントだ。
「凄いねーっ! やっぱり超次元テニスだよ、これは」
テニスコート周辺を縦横無尽に移動していた千晶が、いつ来たのか横にいた。
超次元……ああ、どうも私の知識にあるテニスと違うと思ったら、そうだった。ここはテニスが舞台の世界だっけ。
それなら一人一人に必殺技がないとやっていけないよな。
部活もきっと、どこかの秘密機関の養成所みたいな所で、これでもかっていうような地獄の特訓させられたり、ライバル同士で競わせたりして技を極めていくんだろうな。チーム戦なら味方を思い合い、それこそ血みどろになって戦ったり、自分を犠牲にして次に繋げるために助けたりね。
んで、当然最終回は主人公対ラスボスだな。
そうだな、ラスボスは普段は物静かで温厚な人だと盛り上がるな。
で、いざ試合になったら冷酷非情のクールビューティーで、え、この人が? みたいな感じで。
主人公を絶体絶命まで追い込んで、でも逆にそれが主人公を奮い立たせちゃう的な展開で、呆然とするクールビューティー。
うん、いいね。
その後は友情が芽生えるかもだけど、まあ、またそれぞれの道を目指して第二部突入かな?