トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「あ、いたいた、部長。あ、跡部さんも」
「なんだい、赤也」
「どうした」
幸村を探しに来たらしい切原の後ろには、他の立海メンバーと青学からも幾人か着いてきていた。
「いや~もう腹減っちまって、夕飯が気になって仕方ないんスよ」
「もうそんな時間か」
「ディナーの準備なんざ、とっくに始めてる。心配なんかいらねえ」
切原の言葉に、各自腕時計を見たり窓の外の黄昏具合に視線を向けた。
「おいそこの、戦闘機で酔いつぶれた女。お前、飯は食えるか?」
「酔いつぶれって、ひどっ! うら若き乙女なのに酔っ払いのオヤジみたいじゃない」
だいぶぬるくなった氷嚢を枕に押しつけると、千晶はベッドから降りすっくと立ち上がった。
「跡部家のディナーを食べずして、むざむざと帰るわけにはいかないって」
元気だ。
HPは全回復したらしい。
「凄いね、千晶。ここに来る前からディナーコースは計画してたの?」
「んなわけないじゃん。テニプリキャラに会う。それしか考えてないって」
跡部って人の先導で、ディナールームに向かいながら聞いたらこれだ。
まあ、そうだ。そもそも計画性があったら、暴走して大阪や沖縄まで行かない。
「よし、食事をしながら聞いてくれ。この二人は俺達が出かけた先とはまた違う異次元からの客人だ」
ホテルの披露宴会場に使われるような大広間に設置された長いテーブルに、私が見た立海の人達以外にも大勢席に着いて一斉に食べ始めた頃合いで、跡部って人がマイク片手に話し出した。
「ふーん、やっぱりパラレルワールドって存在するんだにゃ」
「英二ってば行ってきたのに実感ないんだ」
「そりゃね。例えば原始時代とかめちゃくちゃ違う環境ならひしひしと感じるけどさ~。行ったのって現代じゃん?」
「俺もそう思うC」
「あ、芥川も思うんだ! だよね、だよね~?」
「なんや、みんなもそう感じとったんか」
次々とあちこちから感想があがるが、確かに私も知らぬ間にここに来ていたら気づかないかもしれない。
でも、自分家の近所にこんな宮殿が急にあったらわかるか。
そんなことを思いながら前菜を食べていた。
「跡部、次はもっとロマンあふれる世界に行きたいねんけど」
「勝手にほざくな」
丸眼鏡の人に言われて跡部くんが、少し顔をしかめるのがわかった。
確かにただロマンと言われても、漠然としていて困るよね。
バレエの世界に行ってみるといいのかもしれない。
話す機会があったら提案してみよう。
お勧めは『白鳥の湖』か『ジゼル』あたりだろうか。