トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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「でも、老け顔って将来的にお得なのよ?」
「え?」
その、老け顔本人の真田くんは元より、全員が一斉にこちらに視線を向けた。
「老け顔って、何だか誤解されがちだけど、年上に見られるのは二十代までで、三十代から逆転現象で今度は年よりも若く見られるようになるんですって」
「ええ?」
周りの子が今度は真田くんを凝視した。
「伯母から聞いたんだけど、小中と一見おじさんみたいな顔した子がいて、あだ名も『おっさん』。あ、伯母は今、五十代ね。で、先日クラス会があって、男子はみんなハゲたりお腹出たりでそれこそいいおっさんになってたんだって。でも、一人だけ髪も黒々として身体も引き締まって、どう見ても三十代後半の人がいたんだって」
「その人が?」
「そう、おっさん」
みんな、チラチラと真田くんを見るけど、真田くんはコホンコホンとわざとらしい空咳をして、耳を赤くしている。
「伯父もそのタイプでね、結婚当初は伯母の父親か、て言われてたのに、今じゃ伯母の弟に間違われるくらい。だから伯母はもうアンチエイジングに必死なのよ」
「あ、あの」
「うん?」
「それなら逆に、年取って不利なタイプってあるんスか?」
真面目顔で切原くんが聞いてきた。
「可愛い童顔系かな。従姉妹の友達で女の子かと思うくらい可愛い男性がいたんだけれど、二十代に突入したとたん『え?』という変貌ぶりだったな」
「へー……」
と言いつつ切原くんは丸井くんを見た。
「俺かよっ!」
「丸井先輩、いつも女子に可愛いって言われてるじゃないっスか~」
と、完全に目がニヤけている。
「そう言えばそうだね。これは楽しみだな」
「な、何がだよ。幸村くん」
「丸井が真田より年上に見える日が」
笑い声が一気に部室にあふれた。でも私、異世界に来てまで何の話しをしてるんだろうと、ちょっと自己嫌悪になった。
「一ノ瀬さん、また友達から電話だ」
部室のドアがノックと共に開けられると、先ほどの教職員が迷惑そうな顔を覗かせた。
「す、すみません! すぐ参ります」
「どうしたのだ?」
私の焦り具合に柳くんが首をかしげたので、急いでいきさつを話した。
「それなら俺の携帯にかけていい」
「いや、でも」
「公衆電話と学校の電話では連絡がスムーズにいかないだろう」
と、素早く番号をメモ書きすると手渡してくれた。
「ありがとう」
「気にするな」
少し微笑んでくれた眼差しを背中に、職員室へ走った。