トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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髪と共に語尾も微妙な男の子は続けて教えてくれた。
「お披露目で呼ばれたのは、うちだけじゃなくて氷帝も青学も呼ばれたでヤンス~」
千晶の言った二校じゃないか。
「氷帝は部長さんがお金持ちでヤンスから、全校あげてのご招待にしたらしいでヤンス~」
「……」
なぜこぞって異次元へ行くのだ?
(ああ、そうか……)
ここはパラレルワールド、平行世界だ。
どこかで開発されたものは別の世界でも開発されるのだろうな。
たまたま時期が同じになって、みんなが入れ違うように出かけてしまったわけか。
(なるほど)
と、私は勝手に解釈して勝手に納得した。目的の学校が行く先々で空ならば、千晶もあきらめてそのうち戻るだろうと思った。
「きゃー! 立海よ! ついに来たのね! 幸村はどこ?」
「仁王、仁王はいないの?」
「ブンちゃーん!」
けたたましい叫び声で辺りは急に騒がしくなった。
「部長達はいないでヤンス~」
と、男の子が焦ったようにいきなり虚空から現れた少女達に言った。
「ええ? なんでよ?」
これまた先ほどの千晶と同じ反応、そして
「それなら氷帝へ行くわ! 跡部様を見なくちゃ!」
土煙をあげ駆け去って行った。
「あれも別世界からの観光客ってことなのかな」
ちょっと呆気にとられた。
行っても、その氷帝と青学とやらも留守なのに。
千晶もあの子達もどうするんだろう。
「えーと、一ノ瀬浩美さんて、あなたですか?」
「え、あ、はい」
この学校の職員と思われる、年配の男性から急に声をかけられ驚いた。私を知っている人なんて千晶以外にいるはずないのだからと思ったら、その千晶からの電話が学校に入ったらしい。
「は? 大阪?」
『そう。もう氷帝も青学もレギュラーメンバーがいないんだもん! こうなったら大阪の四天宝寺に行ってくる!』
「ちょ、ちょっと待ってよ! 私は」
どうすれば、と伝える間もなく切られた。
学校の電話を私用に使わないように注意されたものの、千晶が大阪に向かってしまった以上、私はここから動くわけにいかない。
千晶との連絡手段が他に何もないからだ。
「はー、もう困ったな。今夜の宿とかどうするのよ」
職員室を出て、テニスコートへ戻ると近くのベンチにへたり込んだ。