トリップシリーズもので、いつものヒロインは全く登場しません。高校生ヒロインの冒険譚です。
パラレル・どっと・混む〜Episode1〜*
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さて、着いた先は千晶によればテニスの世界で、ここは神奈川にある立海大附属中というらしい。
とにかく無事に着けてよかった。
それに神奈川とか、自分がいるのと同じ所在地の名を聞くと安心する。おまけに一字違いの附属中が実際あるし、ちょっと親しみが持てる。
千晶が剣や魔法や、アドベンチャーやホラー好きでなくてよかった。
少なくてもここなら平穏無事に過ごせる。
生き残るのが難しい世界ではない。
しかし、自分がいたところと季節が違う?
秋口から来たのに何だか暑い、夏に逆戻りしたのだろうか。
「ええっ?」
その時、テニスコートに向かった千晶の素っ頓狂な声が辺りに響いた。
「なんでレギュラーが一人もいないの?」
「先輩方は異次元ツアー合宿に行ってるでヤンス~」
「い、異次元ツアー合宿?」
この世界の流行りなのかわからないが、ヘアスタイルの微妙な男の子がそう言った。
「何でも異次元を行き来出来る装置が完成したとかのお披露目で呼ばれて、二泊三日の異次元体験ついでに合宿もしちゃおうぜってことで一昨日から出かけているでヤンス~」
「ええ~? なんでよ、せっかく来たってのに!」
当てが外れて落胆する千晶。
それはそうだろう、はるばると時空まで超えて来たというのに、肝心のお目当てが誰一人いないのだから。
「いいわ! こうなったら氷帝に行ってくる!」
「は?」
「東京の氷帝と青学も見てくる。浩美はどうする?」
「え?」
「時間が来れば強制送還だから、どこにいても大丈夫よ」
じゃね、と軽く手を振った千晶は、足に加速装置でも付いているのかと思えるような見事な走りで、あっという間に私の視界から消えた。
「ええ?」
「速いでヤンス~」
ちょっと待ってくれ。私は千晶と違ってこの世界の情報を持っていない。
どうしろというのだ?
確かに二泊三日には有り余る分の滞在費を渡されてはいるが、それは万が一にも戻れなくなる可能性もあるからだ。
ここに家族はいない。
いるのは千晶だけだ。
もしも別行動をとったがために、同時に帰還出来なくなったらどうしろというのだ。
マウスやチンパンジーは、戻ってきたけれど、確率だけ見れば千晶で六割、私なら五割だ。
五分五分。表か裏か、勝つか負けるか、一か八かの二択だ。
「仕方ない、追いかけるか。ねえ、東京の氷帝って……」
「氷帝は全校で異次元観光らしいでヤンス~」
「は?」