俺様からの贈り物*
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「小笠原……」
思ってもいなかった地名を聞き、七星は呆然と波間に浮かぶ灯りを見つめた。
「あの、でも、なぜ」
「なぜ小笠原へ連れて来たか、か?」
船は減速を始め、ゆっくりと港へ入る。
「はい」
「お前に見せたいものがある」
「え……」
跡部は港の灯りを見ながら言った。
「まあ、もっとも見せてえものは島に降りなくても甲板に出りゃ一目瞭然なんだが」
「え、え?」
そう言って笑う跡部に七星はわけがわからず、幾度も視線を跡部と港の間で行き来させた。
船が桟橋に止まる頃にはメイドたちが下船の支度をすでに終え、七星の前に現れた。
「景吾様、迎えと案内の者が桟橋に来ておりますが、そのまま行かれますか?」
「ああ、こいつが見たがるだろうから」
そう言いながら跡部は七星の頭に手を乗せると、優しく髪を撫でた。
「……!」
頭を撫でられるなんて小学校の低学年以来だ、などと瞬間的に思ったが、目の前のメイドのほほえましい眼差しに、一気に恥ずかしさが湧き出てしまった。
「これだ」
部屋から甲板に出ると、すぐさま跡部が天空を指差した。
「え、わ……あ!」
思わず感嘆の声が漏れる。
見上げた七星の視界すべてが満天の星だ。
「凄……」
目を真ん丸に見開いたまま微動だにしない七星に、跡部も苦笑しながら手を引いた。
「そら降りるぜ。小笠原の夜はこれからだ」