俺様からの贈り物*
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忍足の自分に対する日頃の行いを考え、七星は少しだけ本音を混ぜその位置を下げさせて貰った。
「ハッ」
一瞬呆けた跡部だが、すぐに気を取り直し笑った。
「それ、忍足には言わねえほうがいいぜ」
「言いません」
口許で笑う跡部に、七星はいささかむっとした表情を見せながらも、内心は安堵していた。
しかし、タンホイザーが終わり、朝食が終わり、昼になっても船は進む。
周りは海と空しかない。
行き先を知らされていない七星にとっては、室内のクリスマス装飾も音楽も豪華な食事も、沸き起こる不安を打ち消してはくれない。
「あの、本当にどこへ向かっているんですか?」
黄昏が迫る頃、七星は改めて跡部に聞いた。
「そうだな」
客間から窓の外と腕時計を見た跡部は
「もうそろそろ着くだろうし教えてやろう」
ゆったりと身を沈めていたソファーから体を起こすと窓辺に寄った。
「そら向こうに灯りが見えて来たぜ」
「え!」
灯りという言葉に飛びつかん勢いで反応した七星は、跡部の隣に駆け込むとその指先の示すほうへと目を凝らした。
そして薄暮れる島影の中に跡部の言った灯りを認めると、自然に笑顔がほころんだ。
「疲れたろ。なんせ船で片道25時間半だ」
「え……25時間?」
驚いたのか、大きく目を見開いたまま七星は跡部を見上げた。
「そうだ。ここは東京から南へ1000キロ、小笠原諸島だ」