俺様からの贈り物*
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「タンホイザー、これが……」
「この曲がどうかしたのか?」
七星がいくらかぼんやりとMDのデッキを見ていたせいか、跡部も不思議そうに視線を向けてきた。
「あ、以前父がビデオテープに録画していたかなり昔のドラマを、DVDへダビングしていた時に流れていたCMの曲がこれだったんです」
「ほう、何のCMだ?」
「洋酒のです。蒼い海原に真っ白な帆船が滑るように走る……」
壮大な曲のテーマとあの時見た映像が頭の中で重なる。
そして視界に映る跡部にも海の蒼さを感じた。
(跡部さんて海なんだ……)
そして、なぜだか最初に生徒会室で出会った手塚が浮かんだ。
(跡部さんが海の蒼なら、手塚先輩は山の碧……)
紺碧の碧が天空に広がる。そそり立つ真っ白い雪に覆われた鋭い山肌と対をなす孤高の碧。
(リョーマくんは、カラッとしたカリフォルニアの空だ)
背の高い椰子の艶やかな葉が、風にそよぎ、その上に輝くまぶしいほど強い青。
(幸村さんは優しい水色)
薄い雲がゆっくりと流れる穏やかな空。
そしてそれを映す静かな湖。
「忍足さんは……」
「忍足だと?」
「え……」
あれ、と思った時は目の前に跡部の顔があり、焦るあまり一歩引いた。
(声に出てた?)
自分の顔を覗き込む跡部の表情は、幾分険しく感じる。
「なぜここで忍足のことを考える?」
「あ……と、ですね」
まずいな、と思ったがうまい言い訳がすぐに口から出るわけもなく、
「このタンホイザーのイメージで跡部さんが海の蒼なら、忍足さんあたりだと曇天の鈍色かな、とちょっと思ったんです」