俺様からの贈り物*
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驚いた。こんな早朝からデッキを走っていたのは跡部だった。でも、どこにいてもトレーニングを欠かさない姿勢は凄いな、と思ったのは本心だ。
いつもの氷帝のウェアに、軽く息をはずませた跡部が速度を落とすと足踏みからゆっくりと立ち止まる。
「どうした? 眠れなかったのか?」
「いえ、逆です。ぐっすり」
そう言うと、首にかけたタオルで汗を押さえた跡部が目で笑った気がした。
「それならよかったぜ。しかし、いつまでもここで突っ立ってたら冷えちまう。そら、中に入れ」
跡部にそう言われて肩を抱き寄せられたとたん、寒風が吹き寄せ思わず首をすくめ身震いした。
「朝食にはまだ早ぇから、これでも飲んで暖まれ」
跡部に連れられて来た先は、どうやら跡部の部屋らしい。広くて落ち着いた二間続きの豪華な造りだ。
手渡された熱めのココアの湯気にほっと息をつく。
「俺様が着替える間、曲でも聴いて待っていろ」
跡部はMDのデッキを操作すると続き部屋に行きドアを閉めた。
「あれ、この曲……」
静かに流れ出した曲が、次第に主旋律の重厚さを増してくると以前に聴いた覚えがあり、頭の隅でずっと気になっていた曲だと気づいた。
「待たせたな」
「跡部さん、この曲、なんて言う曲なんですか?」
着替えた跡部に振り向くと、七星はすぐに尋ねた。
「これか? ワーグナーの歌劇、タンホイザーの序曲だ」
跡部はMDデッキを見ながらそう言った。