俺様からの贈り物*
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(今、何時頃なんだろう)
何曲目かのワルツを踊りながら、そろそろ帰らなければと思った。
「あの、跡部さん」
「何だ?」
「そろそろおいとましようと思うのですが、あの、送って頂けますか?」
ここまではヘリでやって来た。跡部の屋敷からならバスでも電車でも使って自力で帰れるが、海の上ではそうもいかない。
「ハッ、残念だが帰るのはクリスマスが終わってからだぜ」
「は……?」
「気がつかなかったか? この船は東京湾を離れて、すでに太平洋上を航行中だ」
優雅にステップを踏みながら、跡部がにんまりと笑った。
「え、ええ!?」
驚いた。太平洋って、東京湾を離れたって、いつの間に?
船は今も全然揺れていない。焦って跡部の手を離した七星は窓へ駆け寄ったが、外は真っ暗で何もわからない。
「お前の家には連絡してあるから心配するな。それにご両親も楽しんでこいと言っていたぜ?」
七星の隣に並ぶと跡部が笑う。毎度の手回しのよさにいささかあきれつつも感心してしまう。
(お父さんもお母さんも、跡部さんに傾倒しちゃってるからな)
跡部をちらりと見て、気づかれないようにそっとため息をついた。
「到着は明日の夜だ。それまで船の旅を存分に楽しめ」
「え……明日の夜? ……て、一体どこへ行くんですか!?」
これには七星も驚いた。船で丸一日?
「そんな不安そうな顔をするな。俺様が一緒なんだ、それこそ大船に乗れ」
不安……? そんな顔したのかな。跡部に言われ思わず苦笑してしまった。
「いえ、行き先がわかれば何も……」
「行き先は着いてからのお楽しみだ」
「ええ……?」
さっきもそんなこと言っていたと、不満そうに七星が口を尖らせる。
それを見た跡部もまた愉快そうに笑い、疲れたなら部屋で休めといつものように指をならしてメイドを呼んだ。
「こちらでございます」
部屋に案内してくれたメイドがドアを開けると、スィートルームかと見まごう豪華な室内に、まるで銀色の雪が降り積もったようにキラキラと光るクリスマスツリーが置かれていた。
「綺麗……」
七星が思わずつぶやくと
「はい、実はこのツリーが一番綺麗な物なんですよ」
メイドが嬉しそうに微笑んだ。