俺様からの贈り物*
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「ああ、そういうこと。いいよ、どうぞ」
好きにして、と言いたげに不二は無造作に電子辞書と説明書を柳に渡した。
「………」
「ほう…不二のはワンセグでテレビも見られるんだ」
横から覗き込んだ乾が、眼鏡フレームを指先で押し上げながらつぶやいた。
「そうみたいだね。辞書機能だけじゃないから楽しめそうだよ。柳のはどんなのだったの?」
テーブルに置かれたグラスからひとつを取ると、不二はジュースをひと口飲み込んだ。
「俺のは辞書機能だけだ。画面もモノクロだし…」
何かを考えるように柳は言った。
「ねぇ、手塚は最初のプレゼントどうしたの? 何も持ってないじゃん」
携帯用ゲーム機を引き当てた菊丸が、早速部屋のコンセントから充電しながらゲームを始め、つまらないんだか楽しんでいるんだかよくわからない表情で壁によりかかる手塚に聞いた。
「ちゃんとある…」
床に座り込みゲームに興じながらも自分を見上げる菊丸に、手塚はポケットから厚みのない横長の封書を取り出した。
「かさ張る物は好きではないからな」
「何それ…えっ…」
手塚から受け取った封筒を開けて菊丸は驚いた。
「全国のスパ・リゾート巡りの旅五日間…テニスコート付きって、凄いじゃん!」
目を丸くして旅行券と宿泊券を交互に見比べる菊丸に、手塚は静かに言った。
「…どれも跡部の経営する所だ」
「それでもいいよん! これで手塚ものんびりと年末年始を過ごせるじゃん」
屈託のない笑顔で菊丸はチケットを手塚に返した。
「………」
物は考えようなのか、と手塚は封筒をポケットにしまいながらそう思った。
「提案なんだが、俺のと交換してはくれまいか?」
「え?」
柳の言葉に不二は顔を上げた。
「ただでとは言わん。これをつけよう」
柳はいざという時にと用意してテーブルに置いておいた、あの食べかけマフィンと飲みかけ紅茶を示した。
「ふうん…七星ちゃんのね」
不二は、腕組みをしてテーブルに置かれたマフィンと柳をさり気なく見比べた。
「残念だけど、これじゃ僕は釣れないよ。僕なら七星ちゃんから直接食べかけを食べさせて貰えるからね」
いつもの爽やかな笑顔で不二が答えると、幸村がわずかに眉を寄せた。