俺様からの贈り物*
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「わぁ…」
上空へと舞い上がったヘリコプターの窓から七星は、下界のきらめく宝石のような明かりをため息混じりに眺めた。
窓ガラスへおでこをくっつけるようにして一心に夜景を見つめる七星を、跡部もまた微笑ましげにただじっと眺めていた。
「凄い、綺麗…」
クリスマスイブにヘリコプターから夜景を見られるなんて、夢みたいだ。
七星はただ、感嘆の声でつぶやき飽きずに眼下に広がる光の帯を見つめ続けた。
「これだけで満足されちゃ困るんだがな」
じっと七星だけを見ていた跡部だが、一向にこちらを見ない七星にしびれを切らせたのか苦笑いを浮かべながらひと言言った。
「え…」
「俺様からの贈り物はまだ他にもあるんだぜ」
「え…と…あっ」
跡部がいつものように軽やかに指先を弾くと、ヘリコプターが急旋回した。
「どこへ…?」
ぐるりと方向転換したヘリコプターは、眼下のタワーや高層ビルを後にしてまっすぐ飛び始めた。
「着いてからのお楽しみだ」
跡部が何か企むような目で笑った。
長い時間ではなかった。
ヘリコプターは、やがて明かりが切れ黒々と広がる場所に出た。
「…海…」
再び七星は窓に張りつくようにして暗い海を見下ろした。どんどんヘリコプターは海上へと向かう。
港の明かりが遠くへと離れて行く。
「そらあれだ」
どこへ…ともう一度尋ねようとした時に、跡部が七星の横を指差した。
「あ…」
指の先には、光の固まりが浮いている。
「降りるぜ」
「えっ…」
また機体が傾いた。
ヘリコプターが光の真上で動きを止めると、そのまま着陸態勢に入りゆっくりと降りていった。
跡部に手を取られてバタバタとローターが回るヘリコプターから降りると、ヘリはすぐさま上空へと舞い上がり、姿も夜空に溶け込みやがて風を叩く音も聞こえなくなった。
「どうした?」
呆然と自分が降りたヘリが遠ざかるのを眺めている七星に跡部が声をかけてきた。
「……船…なんですね」
「ああ、せっかくのクリスマスだ。ナイトクルーズとしゃれ込もうぜ。デッキじゃ寒いだろ、来な」
辺りを見回し、ようやく自分が大きな客船の上にいることに七星は気がついた。
ヘリコプターが遠ざかり、やっと波の音が耳に入ってきた。